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「たからもの」の、種。~人に寄り添う心の物語~
[単行本]ゆーいち (著)
発行日: 2021/7/21
頁数: 394ページ
ISBN-13: 978-4864504171
定価: 1,650円(本体1,500円+税)
電子版:1,100円(本体1,000円+税)
内容紹介
「お母さん、こういうのもらったんだけど、食べられるかな?」
母親に見せると、
「ヘチマでしょ? 飾りだね」
と、はじめは私と同じ反応でした。しかし、それがカボチャだとわかると、母親はそれに魔法をかけました。料理という魔法。一つのカボチャは、たくさんの料理へと変身していったのです。
カボチャの炒め物、カボチャの煮物、カボチャのプリン、カボチャのスープ……。
さまざまなレパートリーで、不思議なカボチャは食卓を賑わせました。
それだけではありませんでした。母親は、さらにその種を捨てずに、先ほどのようにザルに入れ種を乾燥させました。
さて、その後その種たちはどうなったでしょうか?
翌年、その芽を出し、見事に花を咲かせ、いくつかのカボチャができました。さらにその翌年以降、他の人から畑を借りるほどの豊作となります。
やがて、一面の「鶴首かぼちゃ畑」となったのです。
いただいた、たった一個のカボチャから。そして、その種から――。
それらは、いろいろな方々の手に渡って行きました。美味しく召し上がっていただければという想いとともに。
花は、咲いて終わりではありません。
一粒目 生~預かりもの~
種を残し、これからの生命へとつなげていきます。
輪廻転生のように……。
本作のテーマは、「人に寄り添う心」です。
それを、「たからもの」と表現してみました。
そうした心が芽生え、花を咲かせ、「種まき」が行われ、やがて新たな芽が生まれていく――。
そんな過程を、「人を支える」人たちの姿とともに、描いてみました。
七粒の「たからもの」の種。ぜひお楽しみいただければ幸いです。
(はじめにより)