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2008 真実は何処に
[電子書籍]持統院ゆきむら (著)
発行日: 2013/12/19
頁数: 278ページ
ISBN-13: 978-4864501156
定価: 600円(税込・電子書籍)
内容紹介
2008年(平成20年)、国立の精神医療センターに新設されて、5年目を迎える部署があった。司法精神医学研究部である。
2006年に起きた大阪小学児童無差別殺傷事件が契機となり開設された研究部で、この部内に冤罪防止対策室があった。
部長の精神科医、増島と室長で心理臨床家である朝倉が中心となって、その任務にあたっていた。2008年当時、取り組んでいたのは名張毒入りぶどう酒事件と地下鉄サリン事件の一連であった。名張事件は、一審無罪、二審逆転死刑となった事件であり、サリン事件は、教祖が極悪非道な人間として認識されていた。人間理解と事件の真実に迫るべく開発されたのがバーチャルスタジオとアンドロイドである。朝倉たちはこの手法で教祖にせまる。
また、2008年の2月に世間を驚かせたのが、ロス疑惑の再現である。サイパン空港にて浦田氏拘束である。日本では、一審有罪、二審無罪で最高裁もこれを支持して事件は結着していた。ロス市警のマイケル・桜田特別捜査官の依頼を受けて、ロス疑惑の解明に協力することになる。朝倉は、ロス疑惑の殴打事件の解明をめざし、データの収集に奔走。
大きな三つの事件を中心として、「冤罪」をテーマに、北朝鮮の拉致問題、横綱のサッカー事件、和歌山カレー事件、秋田児童殺害事件などを取り上げ、精神医療の現状と課題、司法・法曹界の問題提起をしてゆく意欲作である。原文はほぼ著者の原稿のままであることをお断りしておく。