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  • むきばんだ物語
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  • むきばんだ物語

    岩本 さち (著)

    サンプルを立ち読み 発行日: 2023/12/28
    頁数: 294ページ
    ISBN-13: 9784864505093
    定価: 1650円(本体1500円+税10%)


    内容紹介

    本書の舞台は、鳥取県にある妻木晩田遺跡である。弥生時代の人々の生活を想像させる数多くの遺跡から、著者はインスピレーションを得て、この物語を生み出した。
    あらずじは、以下のようなものである。

    むきばんだの邑には、かつて、神が鎮座する神座があり、神座の主、天日女が神の声を人々に伝えていた。
    ある年の、豊作を祈る春の大祭で天日女は、自分に傅いている邑の女たちが、思いのままに野に遊び、ぞんぶんに恋をして楽しんでいると知った。翻って、天日女自身への長老たちの手厚い庇護が、実は、女としての幸せを禁じた束縛であることにも気づいた。
    まことの愛を得て、子を産み、産んだ子から母と呼ばれる、女としての夢は否定され、天日女はだんだん冷酷になり、罪を重ねていく。
    邑には温泉が湧き出ており、その温泉の隣接している薬湯場を取り仕切って人々の信頼を得ている耶日子という男がいた。
    天日女の罪は耶日子に、手力雄の息子を崖から突き落とすように命じ、実行させたことから始まった。
    手力雄は、息子の死に天日女が関与していると気付くと、神を否定するようになる。勤勉に働くことを止めて、怠け者になり、盗人になりさがっていく。
    天日女は、自分が欲しかった鹿の皮を他の娘に与えた男にも、腹を立てて、オオカミが生息している森に迷い込ませて死なせた。
     やがて、海の向こうから、自国の争いから逃れて渡来した一行がむきばんだの邑にやってくる。彼らは、船を下りた早々、浜辺の洞窟で、一行の中の狂乱した女を斬り殺した。 この事態を嫌悪した劉信という若者は、彼らから離反してむきばんだの邑の山奥に逃げ込む。狂乱した女のお腹には赤子がいた。女が死の直前に産み落とした女の子を見つけた手力雄は、加賀の浜辺に住む赤熊と相談して赤子を邑に連れ帰り、父親が知れない子を産んだばかりの医人の玖珠女に託す。
     主の寵妃を腹の赤子ともども葬ったと思い込んでいる渡来人たちはむきばんだの邑にやって来た。歓待した天日女は、一行の首領然とした東王に恋をするが、東王にはすでに妻がいた。想いが叶わなかった天日女は、怒りをおさめられずに、東王との対立を深めていく。
     東王らと決別した劉信は、手力雄と出会って親しくなった。焚き木採りに山に入った邑の娘を助け、別の日には、オオカミの餌食になりかけていた少年も救って友情をはぐくみ、少しずつ、邑とのつながりをつくっていく。
    渡来人でありながら、やがては邑を支配しようと野心をもつ東王は、自分に楯ついて離れていった劉信の行方を気にかけながらも、道を治し、大川に橋を架け、食糧庫を建ててむきばんだの邑のために尽して人心を得ていく。
    翌年の夏の暑い日に、塩づくりに海に来た邑の夫婦らが、洞窟の中で、女の遺体を見つけた。まとっている衣服を見て、女が渡来人であると定めた人々は、東王らに疑いの目を向けた。東王の妻は怯え、折りしも臨月の体で、洞窟の死者は自分たちといっしょに、海を渡って来た人であると口走る。これを聞いた耶日子は、神座の広場に邑の人々を集めた。 天日女の信頼厚い耶日子が、「東王は人殺しである」と断罪し始めると、医人の玖珠女が「おまえも人を殺したではないか」と叫び、耶日子が、薬湯場において娘たちに犯した罪を大声でぶちまけた。玖珠女の思いがけない告発で、群衆はひと騒ぎした。だが、耶日子を背後で操っているのは天日女であると疑う者は、手力雄を除いてだれもいなかった。
     東王の妻は自害して、東王は邑を追放された。無人となった館に、一人、密かに侵入した天日女は、東王ら、渡来人が大切にしている刀を盗み出す。
    大雨が降りはじめ、雷が鳴り、刀をもった天日女は雨の中を、神座の階段を駆け上った。途中で足を踏み外したのは光った稲妻の中にこの世の最高神、日輪の姿をした手力雄を見たからだ。
    天日女は階段から転落して、起き上がることもできない身となったが、神座に住まわせて使い走りをしている少年が、実は、自分は天日女の子であると名乗り出る。耶日子は数多の罪で、邑を追放された。
    手力雄は漆かきの仕事を再開した。息子を失った悲しみは消えることはないが、元気を出してという、足太の声が、いつも風の中に聞こえている。


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