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空想のひとりライブ~夢の中へ・巡礼編
[単行本(ソフトカバー)]ほうらい 満 (著)
発行日: 2023/2/7
頁数: 104ページ
ISBN-13: 9784864504812
定価: 1320円(本体1200円+税10%)
内容紹介
2020年……第二生期と称し、魂は十九歳であるけれど、肉体は実質六十七歳、ふと気づいたら父親の亡くなった歳になっていた。今まで、命日は別として、あまりというかほとんどといっていいくらい普段の生活の中で父親のことを思いだすようなことはなかったのに(母親と比較したら雲泥の相違)、年頭から父親のことを時々思いだすようなことがあって、血圧が昨年くらいから高くなってきたこともその要因のささやかな一つであるとは思うけれど、もっと違う……何か……があるような気がして……父はもともと髙血圧症で血糖値も高く、動脈硬化から脳軟化症を患い、社会人になって初めての正月、たまたま帰省していたときトイレで倒れ、そのまま寝たきりになってその年の十一月に亡くなった……のであるが、何故か去年までの自分と比較して、活力というか気力というか、よくわからないけれど、要は七十歳を過ぎてからの行動が自分の人生の本筋であるといきがっているわりには、その躍動感を阻害するようなきわめて軟弱な自分が見え隠れしていて、実際、疲れやすく、パート労働にもハリがなくなり……父親は生誕百十年、そして四十四回忌、五十年という節目にあと六年……この六年の意味……自分のこれからの六年は物質的に何とか今の生活パターンを続け、それから本格的な行動に移そうと考えているにもかかわらず。 そんなあっちいったりこっちいったりの振り子のような心境の中にあって、やり残していた卒業研究論文というか、早期退職以来八年間積上げて生きた愚考登山の集大成というか、「しんげんだいぶんめいろん考」という愚作を書き上げ、そのことによって人生最期までやることがハッキリし、同時に、できるかどうかは別として路上ライブのための新たな十三曲(最後の一曲は2021年作)のフォークソングが出来上がった。その中の二曲は父母を想ってつくったということもあって、秋風の爽やかさが少しだけ感じられるようになった九月の朝刊休刊日の前日の日曜日、その報告を兼ねて、天国紫微宮と書かれ父母をはじめ四柱が刻まれているお墓の前で、御霊たちがひっそりとたたずんでいそうなところで、屋外で二度目の、空想ではないひとりライブ(運命のピエロが側に立っていて)を許された。(はじめにより)
著者について
昭和28年3月28日生まれ 昭和50年東海大学卒業