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仮想世界は人間を救うか
[単行本(ソフトカバー)]齋藤正男 (著)
発行日: 2016/1/29
頁数: 74ページ
ISBN-13: 978-4864502269
定価: 1,300円+税
内容紹介
いま人々は激しく変わっていく。生活や考え方が一様で浅はかになった。(中略) 機械が本来どこまで人間を助けるべきであったのか。人間は既にその線を越え、欲望を満たすために機械の助けを借りている。機械が便利になって人間は頭と体を使わなくなった。頭を使わないと人は歯車と同じで、止められなければどこまでも回り、歯止めがあれば止まる。(中略)
短絡的になって個性と感情が薄れた。実際、戦争や災害を生き抜いた人々に比べるといまの若者は弱い。ハイテクに助けられても本当は何もできない。生々しい経験とそのときの感情が生きる芯になる。戦後七十年として少年達が戦争体験を聞き取りまとめている。「この人は平和を祈念しつつ戦闘に参加した」と書いているが、平和を念じつつ銃を撃つ兵士などいない。獣のように相手を殺す気持が怖いのだ。しかし少年はそれを理解できない。
実際に生々しい感情を経験をしなければならないのだが、そのような出来事は少ない。経験を増やすには非現実(仮想)の世界に期待しなければならない。仮想世界とはアニメやビデオだけでなく、もっと広い範囲のものである。現実世界を補い、人間をより強く育てなければならない。
人間は自然の中で慎ましく暮らしていればよかったのだが、欲望を膨らませ、機械の助けを借りると文明社会が築かれ、さまざまな危機を生じている。また人間の特性とも大きなミスマッチを生じている。我々はこれらの壁を越えられるのか。
この本では理解を容易にすること主体とし、割り切った説明を試みた。御叱声を期待する。 (序文より)
著者について
1933 大連市に生まれる。
1947 引き揚げ。
1956 東京大学工学部卒業。
1963 工学博士。
1963―2004 東京大学工学部、医学部、東京電機大学工学部等に奉職、ハイテク医療と人間関係、医用基礎工学などを研究。
著書に『ハイテクと仮想の世界を生き抜くために』(コロナ社)がある。