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母の介護は老後の道しるべ
[単行本]岩田 乃子 (著)
発行日: 2019/12/23
頁数: 116ページ
ISBN-13: 978-4-434-26811-3
定価: 1000円+税
内容紹介
お母さん。あなたの十三回忌も去年無事に終わり、私も七十二歳になってしまった。齢を取るのも早すぎる。一日経つのはもっと早く今年も八月の下旬だよ。
この頃では人生百年、百歳まで、若い人に迷惑をかけないように、マメに暮らしたいと思って精進している。お母さんが弱かったお陰で、沢山のご褒美があり学ぶチャンスも戴いた。ありがとうね。その一つが幼い頃の思い出、誰にも真似のできないこと。毎日寝床に寝ているあなたに歌を歌い、自分のセリフなんて一つしかないのに、それでも全部の人のセリフを覚え、あなたの前で披露したこと。あの頃はお遊戯に合わせた晴れ着なんて無理なこと。だから、踊りはダメでも劇のセリフは上手くこなした。一つしか無いセリフをあなたが弱いので、みんなのやることを全部覚えきり、あなたに披露した。
三月のお節句は学芸会の日だと思って、毎日繰り返し飽きもしないでよく見ていてくれたなぁと感謝している。
その当時の原点が今、祖父母と父の【大事な急所に工夫を施した知恵と才覚の職人肌のDNA】を受け継いだと、形は変わっても工夫は同じ。あなたを何とかしようと凝りもせずに毎日続けた私の遊びの中には、それが詰まっていた。何かを書きたい、伝えたいと、この齢になってエッセーでも綴ってみたいとパソコンの前に座っている。私には勿体ないような人とめぐり逢い、苦楽を共にしている。独りでは何も応えてくれないけど、一緒に居れば返事と一緒に学ぶヒントも隠されていて昔より頭の回転も、人付き合いの幅も拡がり、愉しく愉快な生活で、このまま百年マメに暮らしたいと日々精進している。それにはマメに動く、動かないことには何も始まらず、進歩はなくなる。(本文より)
母の介護を通して、家族と過ごす日常を記録するエッセイ。
著者について
1947年生まれ
静岡県在住
平成13年、県立浜名高校卒業
平成31年2月、『五十歳からの高校生活』を文芸社から出版