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江藤淳と「私」 ―江藤淳の生涯を旅する―(上巻)
[単行本(ソフトカバー)]青木 良和 (著)
発行日: 2023/7/5
頁数: 378ページ
ISBN-13: 9784864504898
定価: 2200円(本体2000円+税10%)
内容紹介
江藤淳が、鎌倉市西御門の自宅浴室で剃刀を用い、手首を切って自裁したのは、平成11年7月21日のことである。満66歳だった。それから20年以上の歳月がたち、いつのまにか、私も江藤さんの年齢を超えてしまった。
江藤淳が、66歳で自裁したとき、次のような遺書を残している。
「心身の不自由は進み、病苦は堪え難し。去る六月十日、脳梗塞の発作に遭いし以来の江藤淳は形骸に過ぎず、自ら処決して形骸を断ずる所以なり。乞う、諸君よ、これを諒とせられよ。 平成十一年七月二十一日江藤淳」(吉本隆明『江藤淳記』)
江藤さんは、その前年、慶子夫人を癌で亡くされていた。子供に恵まれなかった江藤さんが、生涯の人生を共にして愛して続け、亡くなられた慶子さんについて、自裁する半年前の「文芸春秋」に『妻と私』という壮絶な手記を発表している。自身の病魔に堪えながら、奥様の葬儀を執り行う江藤さんの姿を見て、江藤さんは、奥様を亡くされて相当参っているな、大丈夫かな、と誰もがこの本を読んで感じたと思う。
……
江藤淳の著作をはじめとして、長年日本文学を愛読してきた著者が、自身の人生の軌跡と照らし合わせながら、その内容および、同時代の文学、作家の解説をする。
著者について
1948年、神奈川県生まれ。一橋大学経済学部卒。1972年、富士写真フイルム株式会社入社。イメージング事業部長として、デジタル化の進展による構造改革の指揮を執る。
ヘルスケアー事業部では、サプリメントや化粧品などの新規事業の推進を図った。2012年、富士フイルム株式会社執行役員退任。
2018年より恵泉女学園大学特任教授、現在、社団法人日本写真協会会長
著書:「―富士フイルム・マーケッティングラボの―変革のために16の経営哲学」