● 最近の社史は読むより見る中心

「美しく見やすい」社史が人気

社史づくりにおけるトレンドとして目立つのは、
「美しく見やすい」というキーワードです。
昨今の潮流にならって、社史もヴィジュアル重視に人気がシフトしており、
文字中心で資料集的な要素の強かったかつての社史のイメージは
変わりつつあると言ってよいでしょう。

読み手を飽きさせないヴィジュアルの力 社史の「見える化」、すなわちヴィジュアル化に拍車をかけた要因のとして、
写真などの画像がデータ化されて扱いやすくなったことや、
フルカラーでの制作が容易になったことなどが大きいと考えられます。
写真やイラストなどの画像を多用すると、分かりやすさや面白さが増し、
読み手を飽きさせない内容になります。
また、過去の社内の様子をイメージとして把握しやすく、
自社の歴史をより現実的な資料として印象づけることができます。
写真が現存しない場合は、証言や他の記録などを基に
イラストで再現することもできます。

美しいフルカラー印刷で魅力アップ 最近は特に、社史をフルカラー印刷で制作する企業が増えています。
日本でカラー印刷の需要が増え始めたのは1970年代以降ですが、
当時はコストが非常に高く、社史などの場合のカラー印刷は口絵など
一部に使われる程度で、ほとんどは文章中心のモノクロ印刷でした。
その後、カラー印刷機の普及や改良、画像のデジタル化などに伴い、
美しさや見やすさを重視するヴィジュアル化へのニーズが増えていきました。
やがてカラー写真をはじめ、本文のカラー化も進み、
現在ではフルカラーで制作される社史も増えてきています。

多彩な視覚表現で愛着ある一冊に 企業の歴史が長くなるほど、創業者の企業理念を後世に伝えるためには
いろいろな工夫が必要になってきます。
「読む社史」から「見る社史」へのシフトは、
自社への理解や関心をより深めるための表現の幅を大きく広げるだけでなく、
未来へと歴史を引き継ぐ足がかりともなるものです。
1枚の写真が与える豊かな視覚的イメージと多くの情報は、
時代をリアルに伝えると同時に、時代を超えたメッセージを発信します。
文章だけでなく、写真や図、イラストなど多様な表現手段を自在に駆使すれば、
何度も手にとりたくなる、愛着のある社史になるはずです。