論文を出版する理由
大学の教授が自分の論文を出版するのは、利益を出すためだと考える人がいるかもしれません。
確かに本にして出版をすれば、講義を受ける学生達が授業で使う名目として購入することになるので、ある程度の部数が販売できることが見込めるでしょう。
また、学生が多い大学であればあるほど授業を受ける学生も必然と多くなるので、販売部数が多くなり可能性があります。
とはいえ、実際は売れても年間数百部程度にとどまります。
その程度の売上では、利益を目的として出版をするのは現実的ではありません。
実績となる論文出版
准教授が教授になるためには、認められなければならず、なかなか教授になるのには難しいのが現実です。
また、大学教授という職業自体が狭き門であり、正規の授業に就けない博士号取得者はポスドクと呼ばれています。
彼らは、半数以上が大学教員以外の職業を選択し、大学とは関係ない仕事をしていくこととなるでしょう。
認められるためには、実績を積む必要があります。
そのためには論文発表や、学会誌に論文を掲載されることなどが求められます。
しかし、皆と同じことをしていては、なかなか認められません。
そこで、有効な方法として個人でも共著でも良いので、研究者として本を出版するのです。
一冊本を出せば、論文3回分に値するとも言われており、この方法は上手くいくと効率の良いキャリアアップの道となり、実績のためという意味があります。
しかし、論文を本にして出版するにしても、よほど話題になった内容で無ければ、出版社に持ち込んだとしても、出版社がそれを企画して本にしてくれることはありません。
そこで、簡単に本にする方法として自費出版があり、自費出版であれば、校正やデザインなどの費用を自腹で払えば、本として出版することが出来ます。
また、商業出版ではないので、出版社が営業してくれるようなことはないですが、本として売ることは可能です。
書店に流通しても簡単には売れず、印税で黒字になる可能性も低く、印刷部数がそのまま在庫となる恐れもあります。
儲かる可能性は少ないですが、本にすれば形として出来上がるので、実績としての意味合いが強くなるでしょう。
研究費補助を自費出版費用に
論文は出来ているけど、自費出版する費用がまだ用意できていない研究者もいるでしょう。
そこで手早く出版に繋げる方法として、科学研究費助成事業制度があります。
この制度は、大学での研究分野の基礎から応用まで、独創的で先駆的な学術研究を対象とした助成費用という意味です。
さらに科学研究費助成事業制度では、理系の研究の方が補助される場合が多いですが、研究のための実際の出版をまかなうために使われることが多くあります。
また、大学や出版社によっては、書籍の出版費用に充てるために、支援をしているところもあります。
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