10月16日の日経新聞に
興味深い記事が載っていたので紹介します。
藤井聡太八冠に、王座のタイトルを明け渡した
永瀬拓矢前王座のインタビュー記事です。
永瀬前王座は、藤井八冠のすごいところとして、
集中力と、損得で考えないところ、と言います。
それは「人間をやめている」ように感じられるほどだと。
藤井八冠は、イベント出演といった対局以外の仕事を断って
ベストを尽くすのではなく、頼まれたら全部やる。
その上でベストを尽くす。
普通はパフォーマンスを発揮するために、余計な仕事を減らすなど、
環境を変えようとするが、
そういうことをしないのが永瀬前王座には、驚きだった、
ということが書いてありました。
昔、ある作家のドキュメンタリーを見た記憶が蘇りました。
その私小説作家(名前は忘れました)は、文学の鬼を自認しており、
よい作品を残すために、生活のあらゆる雑事を排除する環境を整えました。
よい作品を書くためには、雑用仕事はできないから
生活費を切り詰める必要がある。
そのために、家賃の安い公営住宅に住む。
そして、自分が机に向かうと、
奥さんは気遣って、何も言わずに家を出る。
そんな環境を築いたのですが、インタビューに答えて言うには、
「環境が整いすぎて書けなくなってしまった」
そんな内容でした。
藤井八冠にとっては、損得を考えずに、
イベント出演などを受けることが、逆によい刺激や気晴らしになり、
それがここ一番の集中力につながっているのかもしれません。