『破戒』『暗夜行路』いまさらの読書

島崎藤村『破戒』と志賀直哉『暗夜行路
本当にいまさらですが、この2作を読みました。
『暗夜行路』はもう少しで読み終えます。
教科書に必ず載っていたような小説なのでみなさん知っていると思いますが、今の今まで、「面白くなさそう」という先入観できちんと読んだことがなかったのです。
で、読んでみた感想ですが、
非常に面白い!
やはり「食わず嫌い」はいけませんね。教科書に載っていたことから堅苦しいもののように思っていたのですが、まったく違いました。やはり歴史に残るようなものはそれなりの理由があると納得しました。
どちらも非常に率直な、端的に言えば「青春小説」なのです。
主人公はどちらも25歳ぐらいの若者です。その悩みを中心に物語が展開していきます。
『破戒』は確かに重いテーマを扱っています。いじめの問題です。
同じ人間を「エタ」(変換で出ません)と呼んで差別してきた日本社会の根深い、差別、いじめの問題を扱っています。
ただそれを教科書的に悪い悪いと論じているのでなく、渦中に生きる人間の生活を書いているのです。主人公の瀬川丑松(うしまつ)は、将来を嘱望されている優秀な小学校教師です。彼が抱えている悩みを描写することで、日本社会の問題が自然にあぶりだされてくるのです。
これを社会小説と見る見方もありますが、そうではなくて人間の自意識を書いているとする説が有力です。私もそのように読みました。
『暗夜行路』の主人公謙作も悩みを抱えています。それは自身の出自の悩みです。ただ、この悩みがテーマというよりも、友人関係、男女関係、家庭、結婚、自意識など、誰もが悩むようなことに、この若い主人公が突き当たって、右へいったり、左へいったりする話です。
その書き方が衒うようなところがなく、率直、正直なので読んでいて共感を感じられるのです。
とにかく、この2冊とも、読ませる作品です。
若い頃、読む気になれなかった本が今になって、こんなに面白く読めるなんて、とも思いました。


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admin の紹介

青山ライフ出版 代表取締役。北海道生まれ。1983年早稲田大学教育学部卒。経営誌副編集長などを経て、2005年青山ライフ出版を設立。実用書、エッセイ、小説、詩集、絵本、写真集など幅広い出版物を発刊している。