2015年6月に発刊された
『君の膵臓をたべたい』(住野よる著 双葉社)
が今年の本屋大賞にノミネートされ、45万部も売れているという。
このタイトルにはギョッとさせられるが、
実はそれが本書でデビューした作者の戦略だった。
ライトノベルの賞で選考委員の目に留まらせるために、
あえて気持ち悪い題名にしたという。
内容は青春小説なのだが、ありきたりのタイトルをつけていたら、無名の新人ではスルーされてしまう可能性もあるし、デビューしたとしても、ここまでの結果はなかったろう。
もちろん実力がなければ話にならないが、
デビュー作をベストセラーにまでしてしまう作家は、
したたかさにおいても並ではないのだろう。
タイトルの力は大きい。
「えっ、どんな話なの?」と読まずにはいられない。
それで期待を裏切らない内容であれば、
戦略が見事当たったということなる。
ここにデビュー戦略、ヒット戦略のヒントが
つまっているような気がする。